中国税制コーナー:ユニラテラルAPAに簡易プロセスの導入③

今回は、前回に続いて、9月1日より適用開始とされる国家税務総局公告2021年第24号の「ユニラテラルAPAを適用するプロセスの簡素化」(以下「24号」といいます。)の公布とともに公表された24号の解説文を参考にしながら、当公告の内容を理解する上で最も重要なポイントをお伝えできたらと思います。

■24号における申出法人の資格
ユニラテラルAPA申出事業年度の前3事業年度における各事業年度の関連者間取引金額が4000万元(約6.4億円)以上で、かつ下記いずれかの条件を満たした多国籍企業の中国にある関連者(以下「企業」といいます。)
 申出事業年度の前3事業年度における2016年第42号の公告である「関連者間取引の申告及同期資料の管理」(以下「42号」といいます。)に定められた文書化基準に沿って作成された同期資料を提出した企業
 申出事業年度の前10事業年度内に、APAの締結があり、かつその実施が合意内容通りに行われていた企業
 申出事業年度の前10事業年度内に、税務当局による特別納税調査を受けたことがあり、かつ調査等が終結した企業

■24号における申出法人の範囲
24号における申出法人の範囲は、下記の企業も含まれています。
 42号に規定する文書化義務の閾値以下であっても、申出事業年度の前3事業年度における同公告の文書化基準に沿って作成された同期資料を提出すれば、24号を適用することが可能です。

■24号によるコストシェアリングのユニラテラルAPA
24号の申出法人の資格を有する企業は、24号の簡易プロセスによるコストシェアリングのユニラテラルAPAを申出ることが可能です。この場合は、当該企業はその提出する同期資料の中にはコストシェアリングの内容を記載した特殊事項ファイルを含めなければなりません。

■24号の簡易プロセスによる合意が得られない場合の64号による再申出
24号の簡易プロセスの協議の結果、合意に至らない場合は、同簡易プロセスを申出ることはできませんが、64号による申出を行うことは可能です。この場合は、簡易プロセスで提出した資料はそのまま64号の申出にも使用可能とされています。
・24号の適用期間
24号では、簡易プロセスによるユニラテラルAPAの適用期間は、所轄税務当局が申出法人に申出の受理を表した「税務事項通知書」を送達した日の属する事業年度から起算して3~5事業年度とされています。

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<お願い>
本稿は、個人的理解に基づく解説ですので、実務にご活用いただく際は、必ず下記中国語の原文をご確認頂きますようよろしくお願いいたします。

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zhuying@ozzio.jp

24号及び24号解説文の原文:
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n810341/n810825/c101434/c5167276/content.html
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n810341/n810760/c5167283/content.html
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2021年08月31日