第二回:国際課税の強化と日本の取組み②

 国際課税の強化と日本の取組みとして、前回の法人関連に続いて、今回は個人関連の動向を書きたいと思います。

 2月初旬の日経記事では、国税庁がCRS(Common Reporting Standard=共通報告基準)を通じて入手した情報の活用によって、海外資産を有する富裕層の所得税、贈与税の申告漏れを突き止められたことがありました。同記事によると、2021年1月時点で国税庁は84カ国・地域から約219万件の海外口座の情報を入手できたようです。

 今後情報量の増加が見込まれ、その情報活用法の確立によって、海外に資産を有する富裕層に係る所得税・相続税・贈与税の課税強化が予測されます。
 また、CRSを考案したOECDは、暗号資産(仮想通貨)は租税回避に使われやすいということで、今後暗号資産(仮想通貨)もCRSの対象に加えることを検討しているようです。日本はOECD加盟国であるため、OECDのその動向に対応できるように今後、関連法整備も進められるものと考えられます。

 次回以降は、国際課税の強化と日本の取組みの動向を踏まえて、納税者が課税リスクを軽減するために取るべき対応策について論じていきたいと思います。

(参考文献:日本経済新聞記事)

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2021年02月08日