第一回:国際課税の強化と日本の取組み①

 近年、専門分野での実務や研究のほかに、新聞記事からもグローバル範囲における各国の国際租税回避に対する取り組みが一段と強化されてきた印象を受けます。
日本においても法人及び個人の両方に視野を入れる国際課税の強化が進められていることは直近の新聞記事で垣間見ることができます。

ここでいう法人と個人は、それぞれ主に多国籍企業と一定の海外資産を有する富裕層の個人を指します。
 法人関連事案としては、1月末の日経記事では、重機大手(以下「I社」)が東京国税局と移転価格課税を巡って現在係争中という記事がありました。
【筆者が認識した事案の要約】
 東京国税局はI社に対してI社とそのタイにある国外関連者である子会社との国外関連取引において、部品の輸出価格及び特許権使用料の料率が低すぎたことを理由に海外に利益移転があったことを認定し移転価格に係る更正処分を行いました。
 更正処分対象とされた増差所得額は100億に上り、法人税や過少申告加算税を含めた追徴税額は25億円であったということです。
 上記更正処分に対し、I社は、追徴税額を納付したものの、国の更正処分に対して全額取消しを求めて審査請求を行いました。しかし、昨年3月に国税審判所から棄却されたため、I社は、地裁に提訴し、現在国(東京国税局)と係争中です。

 次回は、国際課税の強化と日本の取組み (個人関連)を掲載する予定です。

 (参考文献:日本経済新聞記事)

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2021年02月07日